NVDAは、PC-TalkerやJAWSと同様、コンピュータの画面に表示された内容を音声で読み上げるソフト、スクリーンリーダーの一種です。 国内で広く使われているPC-Talkerと比べて、NVDAには以下のような特徴があります。
NVDAは、「オープンソース」と呼ばれる種類のソフトです。 NVDAのソースコード(プログラムそのもの、設計図のようなもの)が公開されており、それを読んだり、自分で書き換えて改良したりといったことも自由にできます。 ただし、NVDAに対して何か変更を行い、それを公開する場合、そのソースコードを隠してはいけないという決まりになっています。 この仕組みにより、誰かがNVDAを改良し、それを元にしてまた別の人が変更を加えるというように、みんなでより良いソフトを作り上げることができる訳です。 実際に、NVDAの中心的な開発者はオーストラリアの全盲のエンジニアですが、世界中でいろいろな人が開発に関わっていて、日々進化し続けています。
以上の説明でもわかるように、NVDAは、世界規模で開発・使用されています。 英語を使っている人も、フランス語を使っている人も、中国語を使っている人も、みんな「NVDA」という1つの読み上げソフトを使うだけで対応できます。 ただし、日本語については、NVDA本体が持っている仕組みだけでの対応が不十分なため、「NVDA日本語版」が別途開発されています。
NVDAのインストール及び各種設定方法については、次のリンク先を参照してください。 自信がない人は、誰か分かりそうな人に相談しながら進めるのをお勧めします。
それでは早速、NVDAを使ってみましょう。 これから行う操作は、パソコンの電源を入れるたびに行う必要があるのでよく覚えておきましょう。
なお、パソコンのキーボードのキーを複数同時に押す操作を説明するとき、「+(プラス)」を使って表現します。 たとえば、「Ctrl+Alt+F3」は、Ctrlキー、Altキー、F3キーを一緒に押すことを表します。 なお、このような操作をする場合、キーを押し下げるときは書かれている順序通りに(Ctrl、Alt、F3という順序で)押していき、キーから指を離すときは、書かれているのとは逆に(F3、Alt、Ctrlという順序で)指を離すようにしましょう。 この順番を間違えると、思わぬ動作をすることがあります。
NVDAを使うときは、Windowsが本来持っている、通常のスタートメニューを使います。
マイスタートメニューは、PC-Talkerの機能の1つです。 通常のスタートメニューに比べて、簡単に操作できるようになっています。
しかし、マイスタートメニューをNVDAで使うことはできません。 また、周囲の人に「スタートメニュー」と言われたときは、マイスタートメニューのことではなく、通常のスタートメニューのことを言っている場合がほとんどです。
そこで、マイスタートメニューを終了して、通常のスタートメニューを使うことにします。
以下のように操作してください。
NVDAを使う前に、PC-Talkerを終了させなければいけません。
以下のように操作してください。
これで、マイスタートメニューとPC-Talkerが終了しました。
それでは、NVDAを起動してみましょう。
これで、NVDAを起動することができました。
先ほどNVDAが起動しましたが、今度は、これを終了させてみましょう。
これで、NVDAを終了させることができました。
NVDAの起動と終了を、何度も繰り返しやってみましょう。 操作に慣れてきたら、起動時と終了時にそれぞれ別の音が再生されていることを意識してください。 NVDAは、起動・終了を音声で読み上げる代わりに、それぞれ特徴的な音で表現しているのです。
ところで、NVDAが起動している状態でCtrl+Alt+Nを押すと、何が起きるのでしょうか。 NVDAが2個起動してしまったら大変です。
試しに、NVDAを起動した状態で、Ctrl+Alt+Nを押してみましょう。 しばらくすると、下り調子の音が再生されます。 これは、NVDAが終了したことを表す音でしたね。 さらに少し待っていると、今度は上がり調子の音が聞こえます。 これで、NVDAが起動したことがわかります。
このように、NVDAが起動した状態でCtrl+Alt+Nを押すと、NVDAを再起動できます。 つまり、NVDAを起動し直したくなったときは、Ctrl+Alt+Nを押せば良いのです。
これからNVDAを使っていく中で、「何かいつもと違うな」と感じたら、この操作を試してみると良いでしょう。
すでにPC-Talkerをある程度使いこなしている方の中には、PC-Talkerの音声を停止するためにCtrl+Alt+Nを使っている方も居ることでしょう。 しかし、先ほど学習したように、このキーは「NVDAの起動」に割り当てられています。
NVDAが入っているパソコンでPC-Talkerを使っていて、音声を止めたくなったとき、Ctrl+Alt+Nを押してはいけません。 意図せずNVDAが起動して、2つの読み上げソフトが読み上げを始めてしまうことになるためです。
実は、PC-Talkerの読み上げを止めるコマンドとして、Ctrl+Alt+F2というのがあります。 これを使えば、誤ってNVDAを起動してしまう心配はありません。
NVDAの使い方を学ぶ前に、Windowsの基本操作を学びましょう。
PC-TalkerからNVDAに乗り換えて、最初に戸惑うのがスタートメニューの操作でしょう。
スタートメニューは、自分が使いたいアプリ(ソフトのことを、最近のWindowsではアプリと呼んでいるようです)を起動したり、パソコンの電源を切ったり、設定変更をしたりなど、さまざまな操作をするときの開始点になるメニューです。 スタートメニューから実行できる操作はたくさんありますが、基本操作をマスターしてしまえば難しいことはありません。
スタートメニューを開くには、Windowsキーを押します。 「スタート ウインドウ 検索 ウインドウ 検索ボックス エディット ブランク」と読み上げられます。
スタートメニューは、いくつかのエリアに分かれています。 エリア間を移動するには、Tabキーを押します。
スタートメニューを開いた直後は「検索 ウインドウ 検索ボックス エディット」が選択されていますが、Tabキーを押していくと、次のような項目があります。
最初の「検索 ウインドウ 検索ボックス エディット」は、起動したいアプリや開きたいファイル(データ)の名前の一部を入力することにより、目的の項目に素早くアクセスできる機能です。 慣れてくると、頻繁に使う機能かもしれません。
「開始 リスト [スタート] ナビゲーション メニュー項目の切り替え」と読み上げられるところで下矢印キーを押すと、次のような項目を確認できます。
「すべてのアプリ リスト」には、パソコンに入っているすべてのアプリが表示されます。 上下矢印キーで、項目の間を移動します。 目的のアプリでEnterキーを押すと、スタートメニューが閉じて、選択したアプリが起動します。
このリストは、アプリ名の先頭の文字ごとにグループ分けされています。 「A グループ」などと読み上げられる部分が、各グループの見出しです。 また、リスト上でアルファベットのキーを押すと、そのアルファベットで始まる最初のアプリに素早く移動できます。
「すべてのアプリ リスト」には、「フォルダー」が含まれている場合があります。 「フォルダー」は、関連するいくつかの項目をまとめた箱のようなものです。 項目名に続いて「フォルダー、折りたたみ済み」と読み上げられるのがフォルダーです。 これを選択してEnterキーを押すと、フォルダーが展開され、フォルダー内の項目が表示されます。 フォルダーが展開されたときは、そのフォルダーの下にメニュー項目が追加されて、フォルダーの中身が表示されるイメージです。 どこからどこまでがフォルダーの中身で、どれが最初からあった項目(フォルダーの外にあった項目)なのかを意識する必要があります。
「ピン留めしたタイル リスト」には、スタートメニューに「ピン留め」したアプリが、縦横に並んで表示されます。 ここでの操作は非常に複雑であり、どんなアプリにでも「すべてのアプリ リスト」からアクセスできるため、通常は使用しません。
なお、「検索 ウインドウ 検索ボックス エディット」を選択した状態で上下矢印キーのいずれかを押すと、「すべてのアプリ リスト」に直接移動できます。
スタートメニューでの操作に慣れるため、実際にアプリを起動する方法を2種類試してみましょう。 ここでは、Windowsに付属している「メモ帳」を起動してみます。
一般的な、Windowsアプリの画面構成について説明します。 なお、Windowsアプリの画面構成は統一されていないため、アプリによっては、ここでの説明と一致しない場合があります。
以下、アプリが持っている画面全体を「ウィンドウ」と呼ぶことにします。
ウィンドウの最上段には、「タイトルバー」という領域があります。 ここには、アプリの名前や、現在開いているファイルの名前などが標示されます。
タイトルバーの下には、「メニューバー」という領域があります。
一般に、アプリにはたくさんのコマンド(命令)が用意されており、それらを実行することによって各機能を呼び出します。 コマンドは量が多いため、ジャンルごとの名前が付いた「メニュー」に分けられています。 利用者がコマンドを実行しようとする場合は、
という手順が必要になります。
メニューバーには、各メニューの名前が横1列に並んで表示されます。 この中から目的の項目を探し、マウスでクリックすると、メニューの内容が縦に並んで標示されます。
キーボードでメニューバーを操作するには、次のようにします。
つまり、メニューバー(メニューの一覧)は横に、各メニューの中身は縦に並んでいます。
縦に並んだメニュー項目の中には、さらに細かな項目(サブメニュー)を含むものがあります。 このような項目は、項目名の後に右矢印が表示され、音声でも、サブメニューがあることが通知されます。 サブメニューの中に入るには、右矢印キーを押します。 また、サブメニューの中で左矢印キーを押すと、前のメニューに戻ります。
メニューバーの下には、「ツールバー」と呼ばれる領域が設けられていることがあります。 ツールバーには、そのアプリが持っているコマンドの中でもとくに使用頻度が高いと思われるものが標示されます。 たとえば、直前に行った操作を取り消すための「元に戻す」ボタンなどです。
一般的に、ツールバーを直接キーボードで操作することはできません。 しかし、ツールバーの項目と同じものがメニューバーにもある場合や、その項目にホットキー(後述)が設定されている場合には、それらを通して同じことを実現することは可能です。
ウィンドウの下端には、「ステータスバー」という横長の領域があります。 ここには、現在の状態が表示されています。 たとえば、文書の編集をしている場合には「現在のカーソル位置」などが標示されます。
ツールバーとステータスバーの間、ウィンドウの中央部に当たる部分が、アプリの操作を行う部分です。 ここでは、便宜上「メインエリア」と呼びますが、とくに名前は付けられていません。
メニューバーを利用することにより、キーボードからアプリのさまざまな機能を実行することはできます。 しかし、マウスで操作する場合と比較すると、どうしても効率が悪く、目的の機能を探して実行するのに時間がかかってしまいます。 そこで、キーボード操作の効率を上げるための機能がいくつかあります。
メニューバーに表示されている大項目の名前をよく確認すると、「ファイル(F)」、「編集(E)」のように、アルファベットが付いています。 Altキーでメニューバーに移動した後、このアルファベットのキーを押すと、該当するメニューを直接開くことができます。 また、Altキーとアルファベットのキーを同時に押すと、1回の操作でメニューを開くことができます。 これを「アクセスキー」と呼びます。
また、適当なメニューを開いた後に表示される項目にも、「新規(N)」、「開く(O)」のように、アクセスキーが設定されています。 このアクセスキーは、該当するメニューを開いた後にのみ機能します。
以下に、具体例を示します。 メニューバーの「ファイル(F)」メニューにある、「新規(N)」を実行する方法には、以下のようなものがあります。
以上のように、アクセスキーを活用することで、操作の効率を上げることが可能になります。
アプリの各コマンドには、ホットキー(ショートカットキーともいう)が設定されていることがあります。 ホットキーを活用することで、メニューを開くことなく、直接コマンドを実行できます。
アプリの設計によりますが、メニュー項目の表示が「新規(N) Ctrl+N」のようになっているとき、「Ctrl+N」がホットキーです。 対象のアプリを開いているときにCtrl+Nを押すと、「新規」コマンドが実行されます。
なお、どのコマンドにどんなホットキーが割り当てられているかは、アプリによって異なります。 アプリのヘルプ(説明書)に「キーボードショートカット一覧」としてまとめられている場合もあるため、活用すると良いでしょう。
Windows付属の「メモ帳」アプリを使って、コマンドの実行を練習しましょう。 今回は、「ファイル」メニューにある「新規」コマンドを実行してみます。 この例を参考に、いろいろなコマンドを実行してみてください。
このように、同じコマンドを実行する方法は複数あります。 メニューを1つずつ辿っていく方法は、音声を聞きながら確実に操作できますが、効率は悪くなります。 一方、ホットキーを利用する方法は、もっとも効率的に操作できますが、どのコマンドにどのホットキーが割り当てられているかを覚えなければなりません。 必要に応じて、使い分けてください。
メニューバーの操作では、左右矢印キーを使う場面と、上下矢印キーを使う場面があります。 これらについて、少し整理しておきます。
まず、メニューバーの説明の前に、「メニュー」について確認しましょう。 メニューには、さまざまなコマンドが、縦1列に並びます。 つまり、メニューの中を移動するときは、上下矢印キーを使う必要があります。
一方、メニューバーには、そのアプリが持っているメニューの名前が、横1列に並んでいます。 つまり、これらの間を移動するときは、左右矢印キーを使う必要があります。
ポイントは、「メニューバーに並んでいるものの実態は、メニューではない」ということです。 メニューバーには「メニューへの入り口」が並んでいて、どれか1つを選択して下矢印キーを押したとき、はじめてメニューが出てきます。 少しわかりにくいところですが、いろいろなアプリに触れる中で、徐々に理解できると思います。
メニューと並んでよく使用されるものに、「ダイアログボックス」があります。 ダイアログボックスは、設定の変更、データの保存、印刷範囲の指定など、コマンドを実行するに当たって何らかの操作が必要なときに使われます。 メニューからコマンドを選択するとき、コマンド名に続けて「…」と書かれているものは、実行時にダイアログボックスが現れるものです。
以下では、ダイアログボックスでの操作について説明します。 ここで説明する操作は、ダイアログボックスだけでなく、アプリのメニュー以外の部分を操作するときにも使われる、もっとも基本的なものです。
ダイアログボックスでは、Tabキーを使って項目の間を移動します。 また、Shift+Tabを押すことで、逆の順序で移動できます。
通常、Tabキーでの移動順序は、「上から下、左から右」と決められています。 しかし、実際の移動順序はアプリの内部構造に依存するため、画面表示とは必ずしも一致しません。
Tabキーで移動できるコントロールには、さまざまな種類があります。 コントロールの種類によって、操作方法が決まっています。
以下に、代表的なコントロールの種類と、簡単な説明をまとめます。 すべてを1度に覚えることは難しいため、今すぐ完全に理解する必要はありません。 今後、いろいろなアプリを使う中で新しいコントロールに出会ったら、必要に応じてこの資料を参照してください。
その他、キーボード操作に対応していない、あるいはNVDAで読み上げることのできないコントロールも、残念ながら存在します。 そのような場合、自力での操作は極めて困難です。
実際に、ダイアログボックスの操作を体験してみましょう。 これまでの操作演習と異なり、具体的な操作手順は記載しません。 前節での説明を参考に、自由に操作してみてください。
Windowsに付属する「メモ帳」アプリには、ダイアログボックスを表示するコマンドがいくつかあります。 たとえば、
などは、ダイアログボックスのさまざまなコントロールを体験するのに最適です。
ダイアログボックスでボタンを押すとき、SpaceキーのほかにEnterキーも使用できます。 しかし、基本的にはSpaceキーを使うべきです。 その理由について、詳しく説明します。
通常、ダイアログボックスは、「Enterキーを押したときの動作」が決まっています。 厳密には、「Enterキーが押されたら、このボタンが押されたものとして処理をしなさい」ということが決められています。 この、Enterキーが押されたときに動作するボタンを、「規定のボタン」や「デフォルトボタン」と呼びます。
Tabキーでボタンを選択してEnterキーを押したとき、通常は「選択したボタンを押す」という動作が、「デフォルトボタンを押す」という動作よりも優先されるため、選択したボタンを押すことができます。 しかし、ダイアログボックスの作りによっては、デフォルトボタンが動作してしまうことがあります。 ボタンを選択してEnterキーを押したときに何が起きるかは、実際にやってみなければわかりません。
一方、ボタンを選択した状態でSpaceキーを押すと、選択したボタンを確実に押すことができます。
なお、ダイアログボックスのデフォルトボタンが何であるか、NVDAを使って確認することはできません。
前節では、Windowsをキーボードで操作する方法を説明しました。 ここからは、NVDAの基本的な操作を学んでいきましょう。
NVDAは、Windowsの基本に忠実な画面読み上げソフトです。 前節で説明したWindowsの操作方法を知っていれば、日常的なコンピュータの操作は可能です。
これまで、Altキーを押してメニューバーを操作したり、Tabキーでコントロールの間を移動したり、矢印キーやSpaceキーを押したりしたとき、NVDAは操作の結果を自動的に読み上げていました。 当然のことだと思われるかもしれませんが、これはもっとも基本的で、重要なことです。 NVDAは、操作の結果として現在注目している場所が変わったり、現在注目している場所の状態(チェックボックスの状態、コンボボックスの選択肢など)が変わったりすると、そのことを自動的に教えてくれます。
一方、以下のような疑問を持つこともあるでしょう。
これらの疑問を解決するために、NVDAにはたくさんの読み上げコマンドがあります。
また、NVDAには多くの設定変更機能があります。 設定を調整することで、自分の好みに応じてNVDAをより使いやすくできます。
この章では、代表的な読み上げコマンドと、設定変更の方法を説明します。
NVDAのほとんどのコマンドで、「NVDA制御キー」と呼ばれる特別なキーを使います。 NVDA制御キーは、CtrlキーやAltキーと同様、他のキーと同時に押すことで操作を実行します。 今後、「NVDA+Tab」というような説明があった場合、「NVDA制御キーを押しながらTabキーを押す」ことを意味します。
初期状態で、以下のキーがNVDA制御キーとして動作します。
また、設定変更によって、以下のキーをNVDA制御キーとして使用するようにできます。
この章の最初に、NVDAの終了方法を学習しました。 「無変換キーを押しながらQを押す」という説明を覚えているでしょうか。 実は、この操作は「NVDA+Q」と言い換えることができます。 つまり、無変換キーの代わりにInsertキーを押しても良いのです。 重要なのは、「NVDA制御キーを押しながらQを押す」ということです。
なお、NVDA制御キーとして設定したキーを本来の目的で使うには、そのキーを2度続けて押します。
これから、NVDAのいろいろなコマンドを紹介しますが、1度にすべて覚えることは大変です。 また、キーボードの各キーの位置を正確に覚えられていない方もいらっしゃるかもしれません。 そこで、最初に「入力ヘルプモード」を紹介します。
入力ヘルプモードで何かキーを押すと、押したキーの名前が読み上げられます。 通常、入力したキーが実際に動作することはないため、安心していろいろな操作を試すことができます。 ただし、ファンクションキーなどにパソコンのメーカーが割り当てた一部の操作は、実行されてしまう場合があります。 最初のうちは、F1からF12のキーの取り扱いにだけ、注意しましょう。
入力ヘルプモードに入るには、NVDA+1を押します。 これにより、「入力ヘルプ開始」と読み上げられ、キー入力はアプリに送られなくなりました。
この状態で、たとえばTabキーを押すと「タブ」と読み上げられます。 また、Alt+Fを押すと、「オルト+f」と読み上げられます。 このようにして、キーボードの各キーの位置を確認できます。
また、NVDA制御キーの位置も確認しておきましょう。 「NVDA」と読み上げられるのがNVDA制御キーです。 同じキーを2回続けて押すと、キー本来の名前が読み上げられます。
入力ヘルプモードのもう1つの機能として、「NVDAのコマンドを調べる」というものがあります。 たとえば、入力ヘルプモードでNVDA+Qを押すと「NVDA+q NVDAの終了」と読み上げられます。 この機能を使うことにより、NVDAのコマンドを確認できます。 試しに、NVDAキーといろいろなキーを同時に押して、どんなコマンドがあるか調べてみてください。
入力ヘルプモードを終了して通常の操作に戻るには、もう1度NVDA+1を押します。
以下に、よく使われる読み上げコマンドを紹介します。 可能な限り、各コマンドを覚えるためのヒントを書いています。
NVDAの読み上げを途中で止める方法を説明します。
NVDAが何かを読み上げているときにCtrlキーを押すと、現在行われている読み上げが止まります。 「すべて読み上げ」の実行中であれば、読み上げを停止した位置にカーソルが置かれます。
また、読み上げの途中でShiftキーを押すと、現在行われている読み上げが一時停止します。 もう1度Shiftキーを押すと、読み上げが再開します。 なお、Windowsの設定によっては、Shiftキーを5回押すと「固定キー機能」が有効になってしまうことがあります。
NVDAの設定を変更する方法を紹介します。 すべての設定項目を紹介することはできないため、設定変更に必要な操作の解説を主に行います。
設定変更をするためには、「NVDAメニュー」を開く必要があります。 このメニューには、設定の他に、NVDAのマニュアルを読んだり、終了したりするための項目が用意されています。
NVDAメニューを開くには、NVDA+Nを押します。 「NVDA メニュー」と読み上げられます。
すでに学習したように、メニュー項目の間を移動するには上下矢印キーを、選択した項目を実行するにはEnterキーを押します。 また、「サブメニュー」の中に入るには右矢印キーを、元に戻るには左矢印キーを押します。
NVDAメニューには、以下の項目があります。
NVDAの設定を変更するには、NVDAメニューの「設定(P)」サブメニューにある「設定(S)…」を実行します。 この項目を実行すると、「NVDAの設定」ダイアログが開きます。 このダイアログで、NVDAのほとんどの設定を変更できます。
このダイアログは、大きく3箇所に分かれています。
設定変更の手順は、次のようになります。
「NVDAの設定」ダイアログを開いた直後は、「カテゴリ(C)」が選択されています。 ここで上下矢印キーを押すと、以下の項目を確認できます。
選択した項目によって、画面の内容が変化します。 今回は、「一般」を選んでみましょう。
ここからTabキーを押していくと、選択したカテゴリに含まれる設定項目を順番に確認できます。
各項目についての解説は行いませんが、非常に多くの設定項目があります。
ここで、さらにTabキーを押します。
「OK」ボタンを押すと、変更した内容を保存して、ダイアログを閉じます。
「キャンセル」ボタンを押すと、変更を取り消して、ダイアログを閉じます。
「適用 (A)」ボタンを押すと、ダイアログを閉じずに、変更を保存します。
もう1度Tabキーを押すと、「カテゴリ(C)」に戻ります。
設定変更の練習として、音声読み上げの速度を変更してみましょう。 「NVDAの設定」ダイアログで、以下のように操作してください。
他の設定も、同じ手順で変更できます。
NVDA日本語版には、日本語を扱うために必要ないくつかの設定が追加されています。 これらの設定を変更するには、NVDAメニューの「設定(P)」サブメニューにある「日本語設定(L)…」を実行します。 この項目を実行すると、「日本語設定」ダイアログが開きます。
「日本語設定」ダイアログの構造は、「NVDAの設定」ダイアログよりも単純です。 Tabキーを押すことで、各種設定項目と「OK」ボタン、「キャンセル」ボタンの間を移動できます。 「適用 (A)」ボタンや「カテゴリ(C)」リストはありません。
NVDAの設定を変更していると、以下のような状況に陥ることがあります。
これらの状況を回避するため、今回使用するNVDAは、変更した設定を保存しないようになっています。 これにより、誤って設定変更をしてしまった場合でも、NVDAを再起動することによって元の状態に戻すことができます。
変更した設定を次回起動時にも使用したい場合は、必要な設定を行った後、NVDAメニューの「設定情報の保存(S)」を実行します。 また、NVDAを再起動することなく、前回保存された設定に戻したい場合は、NVDAメニューの「前回保存された設定に戻す(R)」を実行します。
次に、NVDAでWebサイト(インターネット上のホームページ)を読んでみましょう。
これまで、「Windowsの基本に忠実な操作をする」ことを基本にしていましたが、Web閲覧に関しては、少し様子が違っています。 一般に、Webページ上にはさまざまな項目が縦横に並んで標示されており、音声で読み上げるのは困難です。 そこで、NVDAがページの構造を解析し、音声読み上げで読みやすいように加工します。 こうしてできあがった文書の中を、自由に移動しながら読むことができます。 これを、「ブラウズモード」と呼びます。
Web閲覧をする練習として、NVDAの「ユーザーガイド」を読んでみましょう。 ユーザーガイドはNVDAの操作や設定を学ぶために役立つ資料であり、Webページとして提供されています。
ユーザーガイドを開くには、次の操作をします。
以上の操作により、Webページを読むためのブラウザが起動し、ユーザーガイドが読み込まれます。
ページの読み込みが終わると、NVDAは文書の最初から読み上げを開始します。 これは「すべて読み上げ」(NVDA+A)の状態であり、Ctrlキーで読み上げを停止できます。
文書内を移動しながら内容を読み上げるには、次の操作を使います。
また、Shiftキーと組み合わせて範囲選択をしたり、選択範囲のコピーをしたりといった作業も、メモ帳などの文書と同様に行うことができます。
上下矢印キーで1行ずつ読んでいくと、「リンク」や「見出し」、「リスト」などと読み上げられる場合があります。 これらは、ページの「要素」の名前です。
以下、よく使われる要素を取り上げて、概要を説明します。
リンクは、他のページや、同じページの別の部分へジャンプするための要素です。 リンクを選択してEnterキーを押すと、リンク先のページに移動できます。 また、リンク先のページを過去に閲覧したことがある場合は、「既読リンク」と通知されます。
見出しは、本文の開始位置や、内容の区切りなどに使われることが多い要素です。 見出しには1から6のレベルがあり、もっとも大きな見出しがレベル1、もっとも細かい見出しがレベル6です。
箇条書きなどに使われます。 番号なしリスト、番号付きリスト、定義リストの3種類があります。
ランドマークとは、「バナー」、「ナビゲーション」、「メイン」など、各部分の役割を表すものです。 画面読み上げソフトなどの支援技術を使って、ページ内を簡単に移動できるように作られました。
エディットボックス、チェックボックス、コンボボックスなど、情報を入力したり、選択したりするコントロールです。
データを縦横に配置するための要素です。 表を表すときなどに使われます。 テーブルに配置された各データを、「セル」と呼びます。
NVDAには、「1文字ナビゲーション」という機能があります。 この機能を使うことで、ページ内の特定の要素に簡単に移動できます。
1文字ナビゲーションでは、各要素ごとに決められたアルファベットのキーを使います。 これらのキーを単独で押すと、次の対応する要素に移動します。 また、Shiftキーと一緒に押すと、前の対応する要素に移動できます。
以下に、1文字ナビゲーションで使用するキーと、対応する要素を紹介します。 なお、以下の説明はNVDAのユーザーガイドを元にしており、一部の要素の名称について、これまでの説明やNVDAの読み上げと一致しないものがあります。
NVDAのユーザーガイドを開き、以下の操作をしてみましょう。
1文字ナビゲーションを使うことで、効率的にWebページを閲覧することが可能になります。 しかし、ユーザーガイドのようにたくさんの見出しがあったり、リンクがたくさんあったりすると、1つずつ確認していくのは大変です。
NVDAには、このような場合に活用できる、「要素リスト」という機能があります。 この機能を使えば、ページ内に含まれる指定した要素をすべて確認でき、目的の項目を見つけやすくなります。
要素リストを開くには、ブラウズモードでNVDA+F7を押します。 次に、Shift+Tabで「種別」のラジオボタンに移動して、確認したい要素を選択します。 Tabキーでツリービューに移動すると、ページ内の指定した要素が一覧表示されます。 目的の項目を選んでEnterキーを押すと、指定した要素にカーソルが移動します。
現在開いているページから、あるキーワードを探したいことがあります。 そのようなときには、NVDAのページ内検索を活用すると便利です。
NVDA+Ctrl+Fで検索ダイアログを開き、探したいキーワードを入力してEnterキーを押します。 自動的に、カーソル位置からページの終わりに向かって検索が実行され、入力したキーワードと一致するものが見つかれば、そこにカーソルが移動します。 キーワードが見つからない場合は、エラーメッセージが表示されます。
また、最後に入力したキーワードで検索できる、以下のコマンドもあります。
ブラウズモードでページを読んでいるときにTabキーを押すと、次の操作可能な要素(リンク、ボタン、その他のフォームコントロールなど)に移動します。 また、Shift+Tabを押すと、逆方向に移動します。
これらの操作は、Windowsが本来持っているものであり、NVDAの機能ではありません。 しかし、ページ内を素早く移動する方法としては十分役立つものであり、必要に応じて使用してください。
次に、インターネットを使うときによく行う「Google検索」を試してみましょう。
Google検索をするには、最初にGoogleのページを開く必要があります。 今回は、ページのアドレスを指定して開くことにします。
Googleのアドレスは、以下の通りです。
https://www.google.co.jp/
アドレスを指定してページを開くには、次のように操作します。
これで、Googleのページが開きました。 NVDA+Tなどで確認してみましょう。
なお、アドレスを入力する際、先頭の「https://」や「http://」を省略してもかまいません。 また、場合によっては「www.」も省略可能です。 つまり、上記の例では「google.co.jp」とだけ入力してもGoogleのページを開くことができます。
また、過去に同じようなアドレスを入力したことがある場合、それらが候補として標示されることがあります。 1文字入力するごとに「選択」、「選択項目削除」などと読み上げられることがありますが、気にせず、最後まで入力を続けてください。
開いたページには、検索キーワードの入力欄があります。 これまで学んだことを参考に、探してみましょう。
検索キーワードの入力欄は、「編集可能なコンボボックス」として認識されます。 これは、「エディットボックスであり、コンボボックスでもある」と理解してください。
これらの知識から、入力欄の探し方には、以下のようなものがあるでしょう。
これらの内、いずれかの操作を行って、「検索 ランドマーク 検索 コンボボックス オートコンプリート 編集可能」と読み上げられる場所を探してください。
たとえば、「NVDA」と入力したいとします。 しかし、ここで「N」を入力すると、1文字ナビゲーションの「リンクのないテキスト」が動作してしまい、正しく文字を入力できません。
そこで、NVDAには、ブラウズモードに加えて「フォーカスモード」という機能があります。 この2つの違いを説明します。
フォーカスモードとブラウズモードを切り替えるには、NVDA+Spaceを押します。 この操作をするたびに、フォーカスモードとブラウズモードが交互に切り替わり、効果音が再生されます。 「ガシャ」という音がした場合はフォーカスモードに、「ポン」という音がした場合はブラウズモードに切り替わりました。
Google検索の場合は、次のような操作になります。
なお、エディットボックスやコンボボックスのように、フォーカスモードでの操作が必須のコントロールでは、次のような操作も可能です。
ただし、NVDA+Spaceを押してフォーカスモードに切り替えた場合、Escapeキーでブラウズモードに戻すことはできません。
検索キーワードを入力して「Google 検索」ボタンを押すと、ページが切り替わり、検索結果が表示されます。
Googleの検索結果ページでは、検索で見つかった各ページへのリンクが見出しとして標示されます。 1文字ナビゲーションを活用し、見出しを順番に読んでいくことで、検索結果を簡単に確認できます。
Googleで、「NVDA」を検索してみましょう。 どのような結果が表示されるでしょうか。
フォーカスモードは従来、各種フォームコントロールを操作するときに使うことが一般的でした。 先ほどの検索キーワードの入力は、もっとも典型的な例です。
一方、最近では「Webアプリ」と呼ばれる、ブラウザ上で動作するアプリが増えています。 カレンダーの予定を管理したり、メールの送受信をしたりといった作業は、従来は専用のアプリで行っていましたが、現在ではWebアプリで行うことが多いようです。
Webアプリの中には、キーボードで操作することを考慮して、たくさんのホットキーを用意しているものがあります。 これらのホットキーを使うには、NVDAをフォーカスモードに切り替える必要があります。
今後、皆さんが使用する「Google Colaboratory」も、Webアプリの一種です。 一般的なアプリと比べて、操作はやや複雑ですが、少しずつ慣れていきましょう。
今回使用しているブラウザは、「Microsoft Edge」です。 これは、Windowsに標準搭載されており、もっとも簡単に使用できます。
その他、NVDAで使用できるブラウザには、以下のようなものがあります。
なお、視覚障害者向けのブラウザである「NetReader」は、NVDAでは使用できません。
「NVDAの設定」ダイアログの「ブラウズモード」カテゴリには、「サポートされている場合画面レイアウトを使用」という設定があります。 この設定は初期状態でチェックされていますが、変更することで何が起きるのか、説明します。
NVDAのユーザーガイドの「17. さらに詳細な情報」には、次のように標示される箇所があります。
NVDAに関して、さらに詳細な情報や助けが必要な場合は リンク NVDAのサイト を参照してください。 ここには追加のドキュメント、そして技術サポートやコミュニティーのリソースがあります。
これは、実際の画面表示に近い状態です。 しかし、行の途中にリンクがあると、そのリンクを選択するのは大変です。 また、1行の中に複数個リンクやボタンがあることも考えられます。
「サポートされている場合画面レイアウトを使用」のチェックを外すと、標示は次のように変化します。
NVDAに関して、さらに詳細な情報や助けが必要な場合は
リンク NVDAのサイト を参照してください。 ここには追加のドキュメント、そして技術サポートやコミュニティーのリソースがあります。
このように、実際の標示形式に関係なく、リンクやボタンなどの前で改行して標示されます。 この設定は、ブラウズモードの状態でNVDA+Vを押すことで、簡単に切り替えることができます。
本章では、スクリーンリーダーの一種であるNVDAの基本的な使い方と特性として、 NVDAのインストールと設定方法、起動と終了の方法、再起動の方法などを詳しく学びました。 また、Windowsの基本操作、特にスタートメニューの操作方法やアプリの起動方法、Windowsアプリの画面構成などについても学びました。 これらの知識は、コンピュータやインターネット上のサービスを自由に活用する上で必要不可欠なものですし、 新たなサービスが出てきたとしても、変わらずに必要となるような枯れない知識とも言えます。 日頃から使い慣れたり、わからないことは詳しい人に質問するなど、確実に習得しておくと良いでしょう。